先日、食事に誘われ仕事終わりに「池ノ上駅」まで行くことになった。
「池ノ上駅」は京王井の頭線、下北沢のひとつ前の駅……らしい。
東京人である同僚に聞くと「池ノ上?そんな駅ある?」と言われるくらいの知名度の駅で、〝隠れた名店〟に連れてってもらえるとのことだったが、池ノ上駅がまず〝隠れた名駅〟のようだ。
……ひとりで電車を乗り継いで、はたしてたどり着くのだろうか。難易度高そう。そもそも井の頭線って乗ったことないし。
以前の記事、「第5回&第6回 うまく電車に乗れない」でも書いたが、東京の電車ってやつはホントややこしい。
上京直後、ジョルダンのサービス〝乗換案内〟先生には随分助けられたあたしだが、一年半経った今でも彼に大変お世話になっている。
瞬時に乗換方法を教えてくれる頭の回転が速いカレ。ぐいぐいとあたしを引っ張って行ってくれる頼もしいカレ。そんなカレとともに東京生活は成り立ってきたといっても過言ではない。
さて今日も乗換案内先生に目的地まで誘導してもらうために、アイフォンの画面を優しくひと撫で。出発駅「赤羽橋」到着駅「池ノ上」と入力すると、頭脳明晰なカレはすぐに乗換順を教えてくれた。
『赤羽橋(大江戸線)→青山一丁目(銀座線)→渋谷(井の頭線)→池ノ上』
ふむふむ、まずはアオイチで乗換ね。あ、ちなみにアオイチって青山一丁目のことね。東京に慣れてきて、覚えたての略語とか使ってみたい頃です。
アオイチは何度か利用したことのある駅だし、メトロへの乗換も経験済み。銀座線と半蔵門線があるから間違えないようにしなくちゃ……
……と、そこでふと思った。
わざわざ乗換口の遠い銀座線に乗らんくても、半蔵門線でも渋谷に行けるんちゃう? しかも銀座線やったら渋谷まで3駅、半蔵門線は2駅、こっちのほうが早く着くし……。
そう。東京の電車事情が少しずつ分かってきたあたしは、乗換案内先生の教えにアレンジを加えてみたのだ。
このアレンジが命取りとなった。調子に乗るんじゃなかった、と反省したのは半蔵門線に揺られ渋谷駅に着いた後だ。
半蔵門線渋谷駅から井の頭線への乗換は……
めっっっちゃ……遠ぉっかった!15分もかかった!(乗換案内先生の言うことを聞いて銀座線を利用していれば、井の頭線に直結で、わりとすんなり乗換が出来たらしい)
しかも、井の頭線の改札の場所が分からなくて、あたしは渋谷をさまよい歩いた。
井の頭線渋谷駅は、マークシティという大きな商業ビルの2階に改札がある。
駅がビルの2階に入ってるなんて、近未来かっ!分からんわっ!
しかも「井の頭線はこのビルの中⇒」と書いてくれてたらいいのに、美観の問題なのか(ただあたしが見落としていただけなのか)どこにも井の頭線アピールがないのだ。
おかげでマークシティの外のエスカレーターの前で、3分ほど焦った顔でキョロキョロウロウロし、東京初心者全開のオーラを出してしまった。
今度からは〝乗換案内〟先生の教えには素直に従おうと思う。
*
地下鉄の話が出たので、ついでにこの話もしよう。
前からずっと心に秘めて思っていたことだが、今日は声を大にして言いたい。
東京の地下鉄のラインカラー……アレ、なんか変じゃない?!
赤=丸の内線は分かる。
緑=千代田線も分かる。
グレー=日比谷線も許そう。
腑に落ちないのは〝青〟だ。何故か微妙な色合いで3種類ある。
一番はっきりした青らしい青は三田線。
それよりちょっとうすい青、それは東西線。
そして、青に少し緑が加わった(エメラルドグリーン?)が南北線緑。
あまりにも微妙な発色すぎて、並べてみないと違いが分からない。
こうならざるを得ない理由はなんとなくは分かってる。東京は路線数が多いから赤、青、緑…では収まりきらなかったのだ。だから微妙な混合色を出さざるを得なかった。それは分かる。
でも……いまだに悩ましいのは……有楽町線だ。
あれはいったい何色?
ベージュ?はたまた黄土色?
あたしは最初、有楽町線は黄色なんだと思っていた。黄色のラインカラーの地下鉄は他にないし、黄色だと思って疑わなかった。案内板の色が黄色でなくくすんで黄土色に見えるのは、長年使用の劣化が原因なんだと、そう思っていた。
こうやって書いていると、どんどんモヤモヤが膨らんできたので、先ほどウキペディアで有楽町線のラインカラーが何色なのかを調べたら……
な、なんと!まさかの〝ゴールド〟……?!
はいー?なんか、生意気―?
キンキンピカピカしてないのに、金だと主張するのは分不相応じゃないか、なんとなく納得がいかない。
そんな不満を感じつつ、ふと思った。
有楽町線がゴールドってことは、まさか……。リサーチを続けると、嫌な予感は的中した。グレーだと思っていた日比谷線……あいつは〝シルバー〟だった!
ほんと東京ってトコは!!見栄っ張りか!!
*
最後にちょっとだけ大阪の電車の話もしよう。
大阪人のあたしが東京の電車についてあれこれ思うように、東京人も大阪の電車についてあれこれ思っているらしい。東京人の友達Kがこんなことを言いだした。
「こないだ旅行で大阪に行ったんだけど、環状線って回ってないんだね!」
へ?と一瞬思ったが、確かにそうなのだ。
東京の山手線は確かにぐるぐるひたすら回っているけど、大阪の環状線には気付かぬうちにピャーと奈良とか和歌山に行ってしまうやつがいるのだ。(もちろんグルグル周り続けてる電車もいるのだけど)
あと、環状線には〝快速〟がある。
オレンジ色の車体に乗ればチマチマ各駅停車するはずだけど、ちょっと早そうな顔のやつは要注意!京橋とか天王寺とかの主要駅にしか止まらないやつだ。そして気を許してのんびりしていると、奈良とか和歌山にピャーと行ってしまう。
乗り慣れてわかりやすいと思っていた大阪の電車も、他の地域の人からすると難しいものなのだな、と思った瞬間だった。