第22回 東京は物価が高いのか


 

「東京は物価が高いでー、覚悟しぃや」

と大阪在住のころ誰かに言われたのを覚えてる。彼は昔東京に住んでいて、物価の高さを痛感したのだそう。
上京前、この件に関してはかなりビビっていた。
やっぱりモノの値段が高いと生きていくのが大変だし、それだけ稼がないといけない。

「でも大丈夫、東京は賃金も高いから~」
追加でこんなことも言われた。「3時間働いたら、1万円くらいにはなる。遊んで暮らせるで」
……ほんまに? 3時間1万円ってことは、時給換算で3000円以上じゃないか!おいしいな、東京!
上京後アルバイトで生計を立てる予定だったあたしは、インターネットの求人情報を早速チェックした。

カフェバイト時給850円
レンタルビデオショップ時給900円
居酒屋時給1000円……
……あれ、あれ、あれ?大阪とあんまり変わらへんやん。

パソコンに向き合ってるついでに東京の物件情報もチェックしてみた。
検索画面に希望を入力。「駅歩5以内」「南向き」「2階以上」「バス・トイレ別」「オートロック」……カチ、カチ、クリック!
……あれーあれれーあれれれー!105000円と出ましたよー!じゅ、じゅうまん!マジすか。時給850円で十万円の部屋……。

『どうやって暮らすねん!!!』

ある程度貯金を蓄えた上での上京だけど……これ、1年で破産してしまうんじゃないか?!大丈夫かあたし。いつのまにか夜の銀座で働いてたりしてないよね。そんなことも頭をよぎった。

でも、実際に東京に来てみると、そうでもなかった。家賃はやっぱりエラ高なのだが、普通で贅沢でない生活をしていれば、物価の高さを感じない。
自動販売機のジュースは120円だし、コンビニでもペットボトルのジュースは150円、おにぎりは120円だ。大阪と一緒。
なんならあたしが住む高円寺なんて、めちゃめちゃ物価が安くて、箱ティッシュは198円、キャベツは一玉100円。

銀座で働かなくてすむと、安心していたのだが……思わぬところに落とし穴があった。

先日渋谷にいた時、友人が「ヒールのかかと直ししたい」というので修理屋に同行した。男性には分からないだろうが、ヒールの先のゴムの部分が磨り減ると、滑りやすくなって危ないし、金属部分が露出して歩いた時カンカンうるさい。
そういえば今あたしが履いてる靴も、だいぶ歩いたせいかもうすぐゴムが磨り減りそうだ。音が鳴る前に修理をお願いしようかな。……そう思って靴を脱ごうとしたその瞬間、壁に掲げられている値段表が目に入る。言葉を失った。

「1200円から」?!

たっかーー!1200円から?!からってことはこれ以上高くなる可能性もあるってこと?(ちなみに友人は1600円払っていた)
この値段に慣れている東京人にズバリ言うが、これは法外な値段です。大阪ではかかと修理と言えば700円ちょっとでOK。梅田の駅前の一等地でこの値段。もちろん技術的にも問題なし。
2000円とかで靴を手に入れられるこの時代に、かかとだけで1200円ってちょっとおかしくないですか?!気に入ってる靴でなければ、買いなおした方がお得なんじゃないかな。
ということで靴修理は大阪に帰った時に一気にすることに決めた。みなさんも、大阪旅行&出張の際は是非靴修理をお勧めします。

あと、物価高いなぁと感じたのは外食した時だろうか……。
ファストフードとかチェーン店なんかはだいたい大阪と同じ値段なのだが……気を抜いていると、いつの間にか高級なお店に入っていて「どうしよう、注文した手前出ることできないし……」となる。

上京したての頃、六本木でお昼ご飯でもーと思いフラッと入った和食屋さんがランチ2000円~だったときは焦った。東京慣れしていなかったあたしは現金をそんなに持ち合わせておらず、カードで支払い。もちろん選んだのは一番安い2000円のランチだ。
たぶん土地柄もあると思う。六本木は気を抜いてはいけないということをあたしは学んだ。(特に上記の店は六本木ヒルズだった……当然か)

あと、銀座も気を抜いてはいけない。
こないだ、待ち合わせまであと30分くらいあるし、ちょっとお茶でもして待つかーと思いカフェを探した。さすがに百貨店に入っているカフェは高いと知っているので避ける。
大通りからちょっと外れにこじんまりとした可愛いお店を発見。
「ケーキセットあります」とのぼりが出ている。
「おお、ケーキ食べたい!」と入り口の扉に手を掛けたその瞬間・・・・・見つけてしまった。というか寸前で見つけれてセーフだった。
「ケーキセットあります」の下に「1600円~」と書いてある……。
「1600円~」からってことはこれ以上高くなることもあるわけで。。。
(ってか東京は「○○円~」っていうの多いと思う。「~」をつけることで高額な値段をやんわり誤魔化してるあたりが気に食わない)
さすがに30分お茶するだけに1600円は払えない。ということで店の前を去る。結局近くのドトールを探しだし、一杯380円のコーヒーを飲んで時間を潰した。
さすが銀座。うかうかしてられない。

しかし、六本木の和食屋も銀座のカフェも、高いからと言ってお客さんがいないわけではない。それなりに満席だったりするのだ。
そのへん東京人はすごいと思う。みんなお金持ちなのか?じっくり探してみれば3時間1万円のアルバイトはあるのかもしれない。(っていうかこの高給なバイト、あやしい匂いがプンプンするんだが)

そう言えばこないだ新宿のルミネを通りかかったら、とあるお店に人だかりができていた。
なになに?何の店―?と気になったで覗いてみると、色とりどりのマカロンがずらーと並べられている。(ちなみにこの店は、かの有名なマカロン屋「ラデュレ」である。東京以外にもあるけど)
ほう、美味しそう。お試しに買ってみようか、と思い真剣に選び始めたが、プライスカードの値段を見てびっくりした。
1個250円……
ちなみに箱入りは8個入りで3000円……
なんて、あこぎな店だ……。
しかしお店は大賑わい。お客さんはみんな手に1万円札を握って店員さんを待っている。さすが東京人。やっぱり違う。
あんな口に入れた瞬間にいなくなるような腹の足しにならない食べ物に250円も出せるなんて気がしれない。と急にマカロン批判をしながらあたしは撤退。
(でもラデュレの差し入れは大歓迎なので、皆さんのお記憶に留めていただけたらと思います。どうぞよろしく。)

一つ目標が出来た。
高級なお店にビクビクして入らないですむよう、しっかり稼ぐ!ということ!!
頑張って働くぞー!待ってろラデュレ!

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